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2009/05/03 酒心館 壱 生酛純米ひやおろし

2009/05/03 酒心館 壱 生酛純米ひやおろし_c0156212_7205231.jpg
神戸酒心館の「酒心館 壱 生酛純米ひやおろし 検定タンク番号407」を口開けし、ぬる燗でいただく。今時ひやおろしでもないのだが、秋からさらに熟成を重ねて、旨味が最高に乗っているだろうと期待。

そもそも清酒の上質な酸味が好きで、だから生酛好きなのだが、この酒の酸が上品なことには驚く。さすが伝統ある灘の技だけあって、一般にどっしりしたものが多い生酛にも、こんなに雅な香味があるのかという印象だ。

それは飽くまで、生酛の特長である米の旨味の奥行きを感じる甘味や、清酒らしい酸味が活きたままでのこと。その上で綺麗さや洗練を感じるのは、旨みと酸味のバランスが絶妙で、ほどよいコクとともに、全体としてのまとまりがが優れているからにほかならない。

最初は一二杯冷やでいただいたが、やはり燗酒に止めを刺す。酸がさらに丸くなって奥行きを形成し、旨味はますます全体を覆い、実に燗上がりするのである。

ご承知のように、清酒界で伝統ある生酛造りをしている蔵は少ない。灘でもご他聞にもれず、いや清酒先進地の灘だからこそか、生酛造りを実践している蔵はほとんどないのが現状だ。大手では唯一、剣菱だけが行っていると聞く。

そんな中、酒心館は近年になって生酛造りを復活させている。顧客からの要望があったともいうが、次世代への伝統技術の継承を図ってのことであろう。震災で被災したことが、そういう方向性を明確なものとしたと、私自身は想像している。

「福壽」や「凍結酒」で有名なこの蔵は、宝暦元年(1751年)に現在の地、灘御影郷で清酒の醸造を始めたという永い歴史をもつ。その福壽酒造は震災で蔵が半壊し、新築後は神戸酒心館として再スタートした。

蔵は新築で近代設備を備えながらも、多くの工程で手造りを貫き、人手を介した丁寧な酒造りを行っている。特に麹については、「よい麹を造ることこそ、よい酒造りの一番の課題」と考え、昔ながらの麹室で蓋麹による全量手造りとのこと。

また「福壽」銘柄とは別に、この酒のように「神戸酒心館」銘柄を創り、きちんと商品管理ができる酒販店のみが加入できる「酒心館の会」を組織。その酒は会員店のみに、問屋を通さずに蔵元からすべて直送される。 (C)2009 taikomochi
by taikomochi-otona | 2009-05-03 23:00 | 清酒 | Comments(0)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona