人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2010/06/06 天明 中取り弐号 純米吟醸 槽しぼり

福島、会津の曙酒造が醸す「天明」は、同蔵が県外向けに醸す特別酒として、全国の選ばれた地酒専門店にのみ卸される。その酒は、すべてが無濾過で出荷されている。

本日口開けしていただいた「天明 中取り弐号 純米吟醸 槽しぼり」は、生酒中取りシリーズの今BY第二弾。このシリーズは、通常やらないような米や精米歩合、酵母の組み合わせで、レギュラー品にはない酒を造っている。

地元会津坂下産の低農薬栽培「美山錦」と、福島県オリジナル酵母「夢酵母」の組み合わせ。六百キロという小さいタンクで、二本のみ仕込まれたのが今回の酒。

その小仕込みの醪を小袋に入れ、槽(ふね)と呼ばれる古式の圧搾機でゆっくりと搾る。そして、香味のバランスが最も良いとされる中取り部分を、無濾過の滓が絡んだ状態で瓶詰めした。
2010/06/06 天明 中取り弐号 純米吟醸 槽しぼり_c0156212_218948.jpg
フレッシュな香味だが、呑めばしっかりとした腰のある旨味。冷やでいただくのと、ぬる燗につけたのとでは、味わいの様相がくっきりと違う。

冷やでは、やはりフレッシュ感が印象的だ。ややフルーティーで口当たり良く、ほどよい呑み応えとともに喉をすべっていく。

それをぬる燗につけると、とたんにガッツが出て来る。旨みもしっかりと感じ取られ、しかしながら冷やのときの滑らかさ、すっきり感は残して、ダレずに美味しく呑める。

何だか口開け後にますます美味しくなりそうな予感を抱かせる酒で、楽しみだ。きっと大化けするんぢゃないかと、期待できる。

ところで曙酒造は、かつては女人を忌み嫌った酒造業界にあっは珍しく、明治三十七年の創業以来、初代以外は女性が跡を継いできたという歴史を持つ。

現五代目蔵元鈴木明美さんは、東京農大醸造科を卒業後、地元でのOL経て主婦をしていたさ中、先代の突然の死によって蔵を継いだ。そして夫婦二人で酒造りを一から勉強し直す。

その後、女性杜氏として、それまで招いていた南部杜氏に代わって、自ら酒造りを行っているのである。素晴らしい方、素晴らしい蔵である。 (C)2010 taikomochi
by taikomochi-otona | 2010-06-06 21:08 | 清酒 | Comments(0)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona