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2012/09/11 磐城壽 純米生酒 24BY

今日はあの日から一年と半。だからこの酒を開けて呑む。
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2011年3月11日、福島県双葉郡浪江町の沿岸部、請戸(うけど)の酒蔵、鈴木酒造店(銘柄名「磐城壽 いわきことぶき」)は、大津波に呑まれて壊滅した。

さらにその後の原発事故によって、蔵の跡地に立ち入ることさえできなくなってしまった。そのあたりの様子は以下の記事に詳しいので、ご参照いただきたい。

※日経ビジネスONLINE 2011年4月25日
「津波で酒蔵を失った男の再起への誓い ― 地元の酒を愛する人々がなけなしのお金をカンパ」

もう酒を造ることは到底不可能だと諦めかけたとき、蔵元は、たまたま研究用のサンプルとして工業試験所に送っていた山廃酒母が保管されているのを知った。

200ml足らずの液体の中には、流失した蔵の歴史や酒蔵の呼吸さえも知る酵母と乳酸菌が生き残っているはず。多くの応援の声にもあと押しされ、蔵元は磐城壽の再興を決意した。以下をご参照あれ。

※朝日新聞デジタル 2011年5月18日
「浪江の『日本一海に近い酒蔵』、南会津で仕込み復活」

こうして蔵は一時、会津田島へ疎開し、そに蔵を構える國権酒造のタンクを借りて再生の第一歩を踏み出した。タンク一本だけ仕込まれた酒は、「地縁復興純米酒」として販売されたのであった。

その後、後継ぎがなく蔵をたたむことになった山形県長井市の老舗、東洋酒造の設備を引き継ぐことができた。新天地において、酒造りを再出発させている。

※福島テレビ スーパーニュース 2011年12月24日
「浪江町の磐城壽が販売開始」

「磐城壽 純米生酒 24BY」。BYは"Brewer Year"の略で「醸造年度」であり、清酒の場合は毎年7月1日から翌年6月30日まで。すなわち24BYは平成24年度、今年7月以降に醸造された新酒が早くも販売されたわけだ(製造月は8月)。

原料米には五百万石を使用、65%まで磨いている。日本酒度+2、酸度1.3、アルコール度15~16度。ふくよかで柔らかみを感じる酒質で、あと口は爽やかなもの。

鈴木酒造店の創業は天保年間といわれ、もともと海運業を営んできた家柄。請戸は江戸時代末期、太平洋廻りの海運の拠点として栄えた地である。

請戸浜の水が元に還る日が来たら、必ずその請戸で酒蔵を再興する。そのことがもちろん、蔵元の最終目標である。

因みに半年前、すなわち震災一年後にはこんな酒を呑んでいた。  (C)2012 taikomochi
by taikomochi-otona | 2012-09-11 13:50 | 清酒 | Comments(0)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona