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2009/03/14 不老泉 山廃仕込純米酒 参年熟成原酒

強風、雨の東京から戻った。そんな天候の中、傘をさすことが一回もなかったのは人徳か。と、自分で言ってしまえばしょうがない。たんなるハレヲトコなり。つか、うまい具合に雨のときは屋根の下にいただけ。

家人が、愚息の高校ラグビー東海大会の応援で磐田まで行って留守の中、独り自宅に戻る。静岡駅ビルで求めて帰ったパンを食って、ワイン「ドメーヌ・ダンデゾン コート・デュ・ローヌ ヴィエイユ・ヴィーニュ」を呑み、暫し仮眠。

と、眠る前に家人が意外と早く戻って来た。愚息、この試合唯一のトライをあげたそう。結局その得点だけながら、五対五同点のまま抽選勝ちとのこと。まずまず。

日暮れて晩酌、新しい清酒を出して来る。滋賀、上原酒造の「不老泉 山廃仕込純米酒 参年熟成原酒」。いわゆる、不老泉の「赤ラベル」である。常温で利き、燗につけていただく。
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この蔵は独特で好きだ。いまだに搾りは「木槽天秤しぼり(きぶねてんびんしぼり)」で、そんなのが残っているのは全国で三蔵のみという。しかも、この酒は酵母無添加、すなわち蔵付き天然酵母だ。

蔵元は言う。「一般受けするお酒ではないかもしれません。しかし、間違いなく根強いファンが付いているお酒です。

嫌いという方もおられるかもしれません。しかし何回か飲んで頂きますと良さが判りファンになっていただけます。このお酒は、他の蔵が簡単に真似て造れるお酒ではありません。ブライドをもってお薦めしているお酒です」

その通りだよ、全く。そして私らは、初手からファンになってしまう酒質だよ。常温で三年熟成させた効果が良く出ていて、多分、搾りたてでは暴れて手が付けられなかっただろう酒が、個性が活かされつつ練れている。

山廃香に古酒独特の紹興酒香が混じって、とろりと濃く酸味溢れる香味には、三年経っての野趣がまだまだ十分に感じられる。しかし、キツクはない。良いスコッチのように、円いのである。

特筆すべきはキレの良さで、これだけの強い味わいと濃醇さをもっていれば、嚥下後に口中にまとわりつきそうなものだが、これがどうして、実に潔い。逆に、もっとアフターがあっても良いとさえ感じてしまうほど。

しかし、スコッチなどとは違って食中に呑む清酒、これで良いのである。後が障らず邪魔をせずに食が進み、酒がすすむ。実に、清酒文化の裾野の広がりさえ感じさせるという点において、存在価値の大きい酒である。 (C)2009 taikomochi
Commented by こねくろ at 2009-03-15 09:31 x
天秤搾りの話題はなんか懐かしいです。
上原酒造のHP内の説明を拝見しても天秤搾りを用いているのは「3社のみ」と記載されていますが、私の確認した限りでは、現在、昔からの天秤搾りの道具を使っているのは今回の上原酒造、淡路島の都美人酒造、姫路の田中酒造場、福岡の白糸酒造、それに長崎の吉田屋(萬勝)と、少なくとも五蔵と存じます。九州の方では「撥ね木搾り」と言っているので、それをノーカウントしているのかもしれませんが。。。
とまれ、私も不老泉は好きです。現在も雄町の生原酒を常温で寝かしておりますし(^^;)
Commented by taikomochi-otona at 2009-03-15 20:08
おー、そうでしたね、こねくろさん。
こねくろさんらしい学究的調査の結果である、
天秤搾り五蔵のお話、そういえば伺っていたのでした。
迂闊でした。<(_ _)>

こねくろさん同様、とまれ不老泉はなかなかの蔵ですね。
面白いです。
by taikomochi-otona | 2009-03-14 23:00 | 清酒 | Comments(2)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona