2009/06/15 玉川 純米吟醸(コウノトリ)無濾過生原酒
2009年 06月 15日
兵庫県豊岡市で繁殖させ復活したコウノトリ。木下酒造はその近隣に位置し、最寄りに飛来地がある。だからその餌場として、そこには無農薬のたんぼが用意されているのだ。
この酒は、そのたんぼで育てられた無農薬の酒米、五百万石を用いて造られたもの。それを大阪、枚方市の佐野屋酒店が無濾過生原酒として特別に瓶詰めさせ、残りは火入れの後レギュラー酒となる。
つまり、限られた酒なのである。さらに、特別にこの酒が限定される事情がある。実はこの酒、ネックラベルにあるように売り上げの一部、一本あたり百円が「豊岡市コウノトリ基金」に寄付される。
その企画、「生産者の協会の意向により1万円以上のお酒を造ってもらう、という条件があったのです。しかしその条件を見落とした蔵元は、3千円台で販売する純米吟醸酒を仕込んでしまいました。
その為、今回は特例処置として、この酒だけは3千円台で販売する事になりました。この仕込みの物が完売しましたら終了となります。(以上「佐野屋」サイトからママ)」とのことなのである。
食いもの呑みものの価値なんて、所詮鼻や舌で味わってナンボではあるが、実のところ、こういう眼や耳から入る情報も捨て難い。この酒においても、そのような曰くがとっても興味をそそられる。
さてさて、能書きはこのあたりにして呑むことにしよう。まずは冷や、次いで燗につけていただくが、両者で大きな印象の相違はない。
口当たりは柔らかいが、口に含んで嚥下する間に強い充実感がある。意識すれば立ち香はフルーティーなのだと気が付くが、呑む過程において特段それは意識されない。
五百万石という酒米の持つ個性、即ち癖がなくスルリと呑める特長を大いに活かしつつ、しかしフィリップ杜氏、旨味ののりは決して欠かしていない。そのバランスは絶妙である。
いや素晴らしい。純米吟醸として、実に過不足ない仕上がりだ。多分、この後に出たはずの火入れはもっとまとまり感があるのだろうが、無濾過生原酒のガッツも楽しめ、なかなかの口福を得ることができた。 (C)2009 taikomochi
by taikomochi-otona
| 2009-06-15 20:57
| 清酒
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