休肝日とて早く寝ようと書いた昨日の日記であったが、とはいえ、酒を呑まずしての眠りはなかなかに困難。悶々として朝を迎える。
そうしての朝方、冷え込みはなく、コートも着ずして出社したのである。ところが、時間を経るうちに暖かくなるどころか、次第に冷え込んでいく様こそ恐ろし。
昨日記したように、本日は本拠静岡市から西へ、まずは御前崎、それから牧の原、島田、藤枝など巡ったのであった。その仕舞いの方の寒さよ。
ということで、いよいよ本年も師走となりぬ。帰宅して、まずは冷え切った体を湯船に沈め、というよりも「鎮め」の方がしっくりきたり。

休肝日明け晩酌は、これはもう燗酒以外にこの寒さでは考えられぬ。そして特別な酒、「旭若松 責メの合併 無濾過生原酒 H22BY」をいただく。
七月以来か、この酒を呑むのは。久し振りの登場とてちょいと説明しておくと、聞き慣れぬこの酒、徳島の那賀酒造が醸す清酒「旭若松」の、複数のタンクの「責め」という部分を集めたものである。
那賀酒造ではひと冬に、タンク七本程度の酒を仕込むと思われる。これらをそれぞれ搾って清酒とするわけだが、搾りの過程は概ね三段階に分けられる。
最初に採れるのが「槽口(ふなくち)」とか「荒走り」といわれるもの。真ん中は「中取り」といわれ、一般に最もバランスが良い部分などと評される。
最後に圧力を掛けて搾って出てくるものは、そのために「責め」と呼ばれる。雑味が多いなど、決して良い評価を得る部分ではない。
だが、だからこそ面白味もある部分である。徳島の酒店「おおさかや」さんが目をつけ、それを商品化した。
というこの酒、もちろんのこと、決して上品ではなく洗練からはほど遠い。しかしながら、これが清酒かと目をひらかさせる酒なのである。 (C)2011 taikomochi