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2021/04/13 訃報に接して

ずいぶん昔には二人きりで山形県出羽から荘内、それに飛島まで旅をしたような仲の友人が亡くなった。凡そ十日ほど前に孤独死していたのが、昨日発見されたそうである(伝聞にて正確かどうかは不明)。

彼は職場でのパワハラが原因で精神を病み、それは仕事を辞めて快方に向かったと思われたが、代わりに酒量が尋常ではなく増えていた。妻とは別れていて子供はなく、母親と二人暮らしだった。

しかしその母親は五年前、旅先で病気のため急死した。彼はワタクシ同様、酒のことをブログに綴っていたが、母親の死にあたって「私は、本当にひとりぼっちになってしまった」と記している。


以降、長年可愛がっていた鸚鵡と暮らしていたが、その鸚鵡も昨年死んだ。その際には「別れた妻、急逝した母、そして応ちゃん(鸚鵡の名、筆者注)。神は何故拙者が愛する者を奪ってゆくのか」と書いた。

過度の飲酒は彼のカラダを蝕み、肝臓がいかれてしまった。もちろん医者には固く止められていたが、それでも酒を呑み続けていた。ブログの記事は今年二月が最後となったが、終いまで呑んだウイスキーのハナシである。


自死ではなくとも、限りなくそれに近いものである。彼は酒の力を借りて自分を滅ぼしていった。ワタクシはそれを知っていたが、意見することはなかった。そもそも意見するつもりがなかった。

とはいえ、会って惨状を見れば小言の一つも言いたくなるので、会う機会さえ作らなかった。酒に誘えないのだ。いい歳をした男が酒場以外で二人きり、何処で会ったらよいのか。ワタクシには見当もつかないのである。


繊細で良い人間だった。そんな彼には今の世の中、生きるべき空間が本当に少ししかないだろうと思えた。友人としてその空間を広げてあげる努力をすべきだったのかどうか、今でもワタクシには分からない。

彼の最期の日々を「それで仕方がない」と思って見ていたのだ。その生き様を否定できなかった。十代二十代が死んではいかん。家族を泣かすことも駄目だ。そうではない、還暦を過ぎた人間の生き様なのである。

そんなことで、彼の訃報は全く意外なものではない。驚きはない。「今だったのか」という感想である。悲しみもないのは、当方はこうして生きているが、彼と大きく異なる者ではないからである。その意味で哀しくはある。
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本日の宅呑みは訃報に接する前に終えていた。写真のような酒肴に「新焼酎 特蒸泰明」を呑み、一升瓶が空いた。因みに、亡くなった彼の大学での専攻は東洋哲学であった。食後、彼が好きだったスコッチで献杯した。 (C)2021 taikomochi

by taikomochi-otona | 2021-04-13 23:00 | 焼酎・泡盛 | Comments(0)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona