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2008/04/09 租特第87条 清酒等に係る酒税の税率の特例

ガソリン税等の暫定税率が期限切れになって、復活するかどうかという話が喧しい。しかし、私も知らなかったところだが、同時に酒に関する法律が期限切れになっているのである。

この法律は租税特別措置法、略して「租特」の第87条で、中小規模の酒造メーカーに対する酒税の軽減税率を定めているもの。これがやはり、3月31日で期限切れになっている。

法律の中身は、清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、果実酒、合成清酒、発泡酒、地ビールの製造業者で、年間製造量が1,300キロリットル未満のものに対し、そのうち200キロリットルの酒税を25%(果実酒、合成清酒、発泡酒は30%、地ビールは20%)軽減するもの。

例えば清酒では、1キロリットルあたり12万円の酒税が3万円軽減され、9万円となる。全清酒メーカーのうち96%以上が適用を受けていたとされ、影響は広範囲だ。

適用を受ける200キロリットルは、一升瓶換算にすると10万本以上になる。例えば、昨夜いただいた太陽酒造が年1万本であるように、清酒の蔵元は年間生産量数万本クラスが多い。すなわち、生産する全量に減税の適用を受けていたわけだ。

太陽酒造の場合、年間18キロリットルとして54万円の負担増。私の好きな「喜久酔」の青島酒造は800石すなわち8万升といわれるので、年432万円の税金をこれまでより多く払うことになる。

租特第87条は、昨年末の平成20年度税制改正大綱では、5年間の延長が認められた。しかし、暫定税率関連での国会混乱の中、審議が棚上げされたまま、先月末に期限切れを迎えてしまった。

今月末にガソリン税暫定税率の再可決を衆議院で行えば、その際に租特第87条も併せて可決されるとの見方が強い。しかし、暫定税率そのものの見通しが、全くもって立たない中である。

いずれにせよ、酒に関する税の法律は複雑怪奇、奇奇怪怪であり、とても一貫性や整合性があるように感じられない。暫定と称して、何十年も続けている税法と同様。

徒に「暫定」や「特例」に逃げることなく、確固としたポリシーに基づいた理論的税法体系はできんもんかね。などと、ツラツラ思いながらの休肝日である。
 (C)2008 taikomochi
Commented by マイタ at 2008-04-10 19:38 x
なんと!偶然にもワタクシ、本日のブログで
太鼓持さんと同じ趣旨の話を書いてしまいました。
決して真似をしたわけではありませんので、そこはひとつご理解ください。
それにしても困ったものです。ただ、消費者の方々にはほとんど知られてなかったので、以前「なんで小さな酒蔵は声を大にして訴えないのですか」 と蔵元に聞いたことがあります。答えは 「大きい酒蔵はキチンと払ってるから・・・」 といった感じの心苦しそうな内容でしたので、私もうかつな発言を控えておりました。
装置産業相手の過剰な競争の中で、企業努力だけでは回避できない問題に直面している地方の酒蔵の現実を知ってもらうにはどうしたらよいか悩んでおりましたが、太鼓持さんが取り上げてくれたことで大勢の方々が関心を持ってくださることと存じます。
Commented by taikomochi-otona at 2008-04-11 09:51
マイタさん、気が合いますね。(*^_^*)
つか、ご職業の方がこれを取り上げられるのは、全く自然でまともなことであり、
素人の私に対して何の気兼ねがご必用でしょうか。

本当にこのことは知られていませんね。
何でこういうことが様々、「暫定」とか「特例」とか、
ともかく逃げの入った措置になっているのでしょうか。

もっと本腰を入れて、恒久的な政策として、どのようなあり方が求められるのか、
ちゃんと議員さんは仕事をして欲しいと考えます。
Commented by こねくろ at 2008-04-11 23:39 x
全く知らない話で、とても勉強になりました。
たしかに1,300klとなると単純計算で7,000石ちょっと、結構大きめの酒蔵さんの規模で、かなり一般的に適用されていたのが驚きです。
何と言いますか、酒税の話は「パンドラの箱」のような気がして触れにくいですし、そもそも理解出来てないですが、無視できない話ですね。。。
Commented by taikomochi-otona at 2008-04-12 20:24
こねくろさん。1本50円あまりと考えれば些少かもしれませんが、
金額の多寡ではなく、おっしゃるように特例と言いつつ、
結構一般的な適用範囲。

例のインターセラーズの話も通じますが、清酒や焼酎といった
酒造文化を行政としてどうとらえるか。
根本理念がないので、場当たり的ですわ。
by taikomochi-otona | 2008-04-09 23:00 | | Comments(4)

酒がなくても生きちゃいけるが、そんなん人生とはよう言わん。


by taikomochi-otona